2015年7月21日火曜日

第11回商店街うんちくツアー 和菓子の「木むらや」

 リサイクルショップ「WE ほんもく」を出た一行が次に向かったのは和菓子の「木むらや」です。







 このお店は1880年、明治13年に創業しています。
 私が4代目ですが家督を息子に譲り、現在は5代目としてやっております。
 皆さん、今日は商店街うんちくツアーの参加者としてここにお出でになったわけですが、このお店があるということはご存知でしたか?

 「知りませんでした…」
 「知ってるよ~」

 この先は北方小学校や双葉学園などがあり、時間帯によっては人が通るのですが、元町やなんかと違ってなかなか一般の方の人通りって、ないんですよね。
 そんな辺鄙なところで100年以上もやってきているということは、それなりに特徴があるわけです。


 この先にはキリンビールの発祥の地があるのですが、昔は工場があったのですね。
 その頃は工場を中心にしてかなり人口が多かったようです。


 社員の他にも、今でいうパートの人などが通っていました。
 その人たちは樽やビンを洗っていた、まあリユースの仕事でしょうね。


 そういう風だったから、この辺には今で言うアパートかな、長屋がたくさん建っていたわけです。
 キリンビールの工場の他に、妙香寺や北方皇太神宮、そしてたくさんの学校が周りにあったので、そこから結構仕事をいただいてきました。


 大正12年の関東大震災のあとキリンビールが生麦に移転してしまい、それから、この周辺はだいぶ様変わりしてしまいました。




 うちのお菓子は、そこに掲げてあるようにいろいろ賞状を貰っていまして、たとえば「どら焼」、「磯最中」、「こがね餅」など、お寺さんのお茶菓子に結構使っていただいております。



 ここにある団子とか大福なんかは、最初に来たグループの方々が買っていってしまったので残り少ないですが、この団子、大福は二日も三日も柔らかくないのです。

 「朝生」といって、その日に作ったものをその日に食べる。
 うちは売店なんかないし、裏で作ったものを表で売っており、長持ちさせるようにはなっていないのです。

 昔から和菓子というのはいろいろなものを混ぜたりしないものなのです。
 そのほうが本来の味がするし香りもいいし、シコシコ感も違ってくるのです。


 お客さんの中に、冷蔵庫の中にいれて固くなるから「お宅のは本物だ」なんて言う方がいらっしゃる。
 冷蔵庫に入れて保存しちゃダメなんです。


 工場で造ったものを売っているスーパーやコンビニの和菓子は、その日のうちに売り切れないから何日かもたせるために、柔軟剤や砂糖などを添加しているのです。
そうすると生地の塩梅が変わってくるのです。


 「子どもに食べさせるには、やはりこういうのがいいね」といわれると嬉しいですね。
 そういうお客さんに支えられてやってきています。






(ここでお客さんが和菓子を買いに入ってくる)

「醤油の団子3本と葛桜ね」

 ここらあたりでは、うちが一番古いんです。もう135年になりますからね。

 生まれたときから亡くなったあとまで、人間の一生は和菓子とずっと関わりがあるのです。
 子どもができたときの着帯祝いから始まって、出産祝い、お宮参り、初節句・・・そして亡くなった時の仏事、法事ですよね。


 赤ちゃんが生まれて三日目に母親がぼた餅を食べるとおっぱいの出が良くなるよとか、最近は若い人たちがそういうことを分からなくなってしまって…

 昔はそういうことをお婆さんとかお母さんが教えていたんですよね。
 今ではそういう風習を親から伝えられなくなってしまったので、
和菓子を扱うお店で若いお客さんに教えていかなければいけないんでしょうけどね。


 でも、今のお婆さんたちは自分の子どもに伝えられなかったけど、孫が生まれてそこで教えるようになってきたということもあります。


 1升餅ってありますよね。
 子どもが1歳になったときに背負って歩かせ、一生(一升)、食べ物に困らないようにとか、一生(一升)、健やかに過ごせるようにと願ってお祝いをするのです。
 今日も一軒、その予約が入りました。


 2キロもあるんですよ。これを1歳の子が背負って歩かなきゃいけないんです。

(ここで参加者の一人がかりんとう饅頭を買おうとして…)
 あっ、余計な話かもしれませんが、今日このあとの交流会でそれが出ますよ。
 違うのにした方がよいかと…

 最近、横浜国大付属小学校の生徒さんたちが来て、「木むらや」を紹介するポスターを作ってそこに貼っていってくれたんです。
 その後、先輩がたまたま買いに来て、「あれ~、後輩たちが作ったんだぁ」なんてね。



 昔は和菓子屋はたくさんあったんですけどね、今じゃ、本牧周辺では2,3軒しかないでしょ。
 だからといって和菓子を買いに来るお客さんが増えることは無いんですよ。


「麦田に木むらやという店がありましたけど…」
「あれは支店です。うちが本店で」
「やめちゃいましたよねぇ」

「呉服屋さんと和菓子屋さんがある商店街は格が高いといいます」
「肉屋さん、八百屋さん、魚屋さん…と、みんな揃っていますよ」
「そういう生鮮三品を扱う店がある商店街は一般的で、呉服屋と和菓子屋があると、ワンランク上の商店街となるわけです」


 そろそろ時間ですので次に向かいましょう。



次の「山田硝子店」に向かう途中、「上田屋」で本牧シュウマイを買う参加者。

posted by よんなん

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